掃除は労働時間か
Q
掃除は労働時間か
就業規則には始業8:00、終業17:00、休憩時間12:00~13:00と書いてある。
実際は、7:45から体操と事業所の室内・敷地内の掃除をして、8:00~8:05朝礼会となっている。夕方は、17:00過ぎに仕事用具の手入れと片付け、戸締りをし、常に17:10位でないと退社できない。
15分+10分=25分が残業ではないかと思うが、総務係は、「労働時間は就業規則で明確にしているし、内容からも完全に業務とはいえない。また、25分だから1時間以下で切捨てになり、残業代として支払う必要はない」といっているが、どうしようもないのか。
A
法的ポイント
- 労働時間、時間外手当にかかわる代表的な法律
- 労働基準法32条(労働時間)
- 「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」
- 32条-2
- 「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」
- 32条二
- 1箇月単位の変形労働時間制
- 32条三
- フレックスタイム制
- 32条四
- 1年単位の変形労働時間制
- 32条五
- 一週間単位の非定型的変形労働時間制
- 34条(休憩)
- 「使用者は、労働時間が六時間を超える場合少なくとも四十五分、八時間を超える場合においては少なくとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」
- 34条-2
- 「……一斉に与えなければならない。ただし、……書面による協定があるときは、この限りでない。」
- 34条-3
- 「使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。」
- 36条(時間外及び休日の労働)
- 「使用者は、過半数を代表する労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者)との書面による協定をし、労働基準監督署に届け出た場合、……協定に定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。……」
- 37条(割増賃金)
- 108条(賃金台帳)「使用者は、各事業上ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払いの都度遅滞なく記入しなければならない。」
- 38条(時間計算)
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- 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
- -省略-
- 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
- 38条の2(事業場外労働)
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- 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。
- 前項ただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を同項ただし書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。
- 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。
- 109条(記録の保存)
- 「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。」
労働基準局通達H29.1.20「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」も、労働時間を考える時に必要な基準です。
また、労働時間の始終業がどこであるか、明確に判断したものに「最高裁判例:H12.3.9三菱重工長崎造船所事件」があります。
一口でいうと、労働時間は、使用者の指揮命令下にどの時点から入ったか、開放されたかで決まるということです。
アドバイス
体操や掃除の実施が指示されていた場合は、労働時間。参加の指示もなく、参加してもしなくても評価も制裁もない場合には、労働時間から外れる可能性が大きい。夕方の片付け10分は労働時間といえます。
朝と夕方あわせた25分が労働時間である場合、1時間未満だからと日ごとに切り捨ててはいけません。日々の労働時間については1分単位が基本です。端数処理については、1カ月分を積算して時間単位に直し、端数は30分以上については1時間に切り上げし、29分以下については切捨てて構わないとされています。
その時間が割増賃金となるか、否かは、企業内規定がなければ、法定労働時間・週40時間(年間労働時間=2,085.7時間:40H×52週+40H/7H=2,085.7H)を超した時に割増対象時間になります。