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退職を認めない

Q

退職を認めない

会社を辞めたいのだが、「後任がいないので認めない」と言われている。どうしたらいいか。就業規則には、「退職する場合は1ヶ月前までに申し出ること」と書いてある。

A

法的ポイント

労働者からの雇用の解約にかかわる法令は、「特別法」の労働基準法には規定がなく、「一般法」である民法が適用されます。一番着目すべきは、期間の定めの有無によって適用される条文が異なることです。
また、民法623条「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。」として、労働基準法「第2章労働契約」も包含した幅広くとらえており、「賃金」ではなく「報酬」としていることに注意する必要があります。

民法の規定
民法626条
  1. 雇用の期間が五年を超え、又はその終期が不確定であるときは、当事者の一方は、五年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。
  2. 前項の規定により契約の解除をしようとする者は、それが使用者であるときは三箇月前、労働者であるときは二週間前に、その予告をしなければならない。
(注意)新民法 626 条の適用ケースは、「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」に該当する場合(労基法14条1項)、もしくは労基法の適用が除外される「同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人」 (同法116 条2項)に該当する場合など適用範囲は限定的。
労働基準法14条(契約期間等)
「労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(専門職・60歳以上の者は5年)を超える期間について締結してはならない。」
労働基準法137条
「期間の定めのある契約期間が1年を超える契約を締結した労働者は、民法628条の規定にかかわらず(損害賠償請求権否定)、申し出によりいつでも退職することができる。」
民法627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
  1. 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
  2. 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
  3. 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
民法628条(やむを得ない事由による雇用の解除)
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

アドバイス

退職をめぐるトラブルで一番多いのが、○ヶ月前までに申し出ることと、退職を認めないです。 雇用期間の定めがあるか、ないかで適用される法律が大きく異なることに注目してください。  期間の定めがなければ、民法627条により、14日前までに退職の意思を明確に伝えれば、承認される必要もなく、損害賠償請求されることもなく労働契約は解約されます。出勤しなければそれで終わりです。辞められないと悩む必要はありません。退職「願」ではなく、退職「届」を出せば完了です。一方、雇用契約の期間に定めがある場合であっても、民法628条による「やむを得ない事由」がある時は労働契約の解消は可能ですが、やむを得ない事由が無い限り期間途中では解消できないことになります。
雇用期間の定めがある場合は、期間の途中で雇用主の了解がないまま、一方的な辞職によって損害が発生した場合、損害賠償請求される場合がありますから、注意が必要です。14日前までに届け出れば解約が成立とはなりません。使用者の了解が求められます。
就業規則に、期間の定めがある場合でも「退職の場合1ヶ月前までに申し出ること」となっていれば、1ヶ月前までに申し出れば、退職を理由にした損害賠償請求は免除されることを意味していますから、この点は安心できます。
就業規則に記載がない場合は、使用者の了解が得られないで、一方的に退職した場合、損害賠償請求の可能性が高まる恐れがあります。
期間の定めがある場合は、労働者の思いだけで解約できないのですから、当然ですが、使用者が途中で解約(解雇)することは認められない、言換えれば契約期間の賃金を補償する義務があるといえます。
尚、最終支払いとなる賃金については、退職届の内容に「なお、賃金支払いについては法令にのっとり速やかに支払うようお願いします」と記載すれば、退職の日から7日以内に使用者は支払う義務が生じます。

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