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賃金と損害賠償の相殺はできるか?

Q

賃金と損害賠償の相殺はできるか?

事務機の営業として働いているが、先日会社の営業車で外回り営業をしている時に車同士の事故に遭い営業車を壊してしまった。
その後、会社からは車の修理代として数十万の損害賠償を請求された。異議を唱えたら会社は賃金と損害賠償金を相殺すると言ってきた。納得ができない。

A

法的ポイント

労働基準法第16条(賠償予定の禁止)
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
労働基準法第24条(賃金の支払)
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし ~中略~ 通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
民法第415条(債務不履行による損害賠償)
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
民法第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

アドバイス

労働者の行為が債務不履行や不法行為により会社に損害を与えた場合において、労働基準法では会社から労働者に対する損害賠償請求や制裁に関して、これを賃金との関係において規制を定めています。これは労働者にとって賃金が、その生活の基盤となっていることからの扱いであるからです。
しかしこれはあくまでも賃金との関係だけであって、会社からの損害賠償そのものを逃れるものではありません。

では、会社の車で事故を起こしたり会社の器物を破損したりした時は、どのような場合でも会社から損害賠償を請求されても仕方がないのでしょうか。
会社で仕事をしている限り、車の事故や機械の故障・破損は、どんなに気をつけていても100%防ぎ切ることが出来るものではありません。
一方会社は、労働者の働きによって利益を上げているわけですから、逆にマイナス面に関しても一定の責任を負うべきだと考えられます。
つまり会社には事故を未然に防止し、たとえ損害が起こってしまったとしても最小限に留めるように努める危機管理義務があるというわけです。
従って、車の事故や高価な機材の故障が起こったときに労働者側に一方的にその負担を求めるのはあまりにも不公平で、過去の判例などでも大きく制限されている場合が多いようです。
ただし、労働者の重大な過失(たとえば飲酒運転をしていたなど)がある場合には事情が変わります。

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