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育児休暇後、職場復帰をさせてもらえない!

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育児休暇後、職場復帰をさせてもらえない!

学校卒業後、製薬会社の一般事務職の正社員として採用8年勤務しました。3年前に結婚をし、ようやく子供を授かり、妊娠8か月目から産前産後の休暇を取得。その後育児休業制度を利用し1年休職しました。
職場復帰をそろそろしようかと思い、会社に電話をしたところ、「今のところ、あなたの仕事はない」と言われ、それでは困るので、上司に再度お願いしたところ、「小さい子供がいると休みが多くなり会社としても困るから、あと1年休職したらどうか」という話があった。確かに、子供が病気になればお休みを頂いたりしなければならないこともあるかと思うが、このような会社の対応に応じ、もう1年休職しなくてはならないのか?

A

法的ポイント

(1)制度の説明
育児介護休業法はその趣旨で、『仕事と生活の調和を進めていくとともに、特に、子育てや介護など家庭の状況から時間的制約を抱えている時期の労働者について仕事や家庭の両立支援を進めていくことによって、その福祉を増進するとともに、わが国の経済及び社会の発展につながります。また、仕事と家庭の両立しやすい職場づくりは、企業にとっても優秀な人材の確保・育成・定着につながるメリットがあります。』と述べています。
そして、具体的な各条文では、育児休業及び介護休業に関する制度を設け、所定労働時間等に関して事業主が講ずべき措置を定めるほか、これ等の労働者に対する支援措置を講ずるよう定めています。

育児休業できる期間
原則として子が1歳に達するまでの間となりますが、一定の場合は子が1歳6ヵ月に達するまでの間休業することが出来ます。
育児休業期間中の賃金
事業主による支払いは法による強制はありませんが、雇用保険から「育児休業給付金」が次の計算により支給されることになります。 月当たりの支給金=休業開始時賃金日額×支給日数の40%(当分の間は50%)相当額
育児休業中の社会保険料
健康保険や厚生年金保険料の支払いの免除制度を受けることができます。免除期間中でも健康保険の給付は通常通り受けられますし、厚生年金も免除期間中は保険料を支払っていたとみなされて将来の年金額に反映されることになります。 このほか、育児休業等を終了した後、育児等を理由に報酬が低下した場合、変動後の賃金に対応した社会保険料額に改定する特例や、住民税を一時に収めることが困難であると自治体の長が認めた場合は、育児休業期間中1年以内の期間に限り徴収の猶予がされます。
その他の主な措置
  1. 小学校就学前の子を養育する労働者は、申し出によって年5日まで(2人以上の場合は年10日)、病気・ケガをした子の看護のための休暇を取得できる。(法第16条の2)
  2. 事業主は、育児や家族介護を行う労働者が請求した場合は、1ヵ月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはならない。(法第16条の8、17条)
  3. 事業主は、育児や家族介護を行う労働者が請求した場合には、深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させてはならない。(法第19条20条)
  4. 事業主は、3歳未満の子を養育し、また要介護状態にある家族の介護を行う労働者については、勤務時間の短縮等の措置を講じなければならない。(法第23条)
  5. 事業主は、労働者を転勤させようとするときは、育児や介護を行うことが困難となる労働者について、その育児又は介護の状況に配慮しなければならない。

(2)関係法令及び裁判例

【法令】

  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 (俗称:「育児・介護休業法」)
  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則
  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令
  • 子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針

※次世代育成支援対策推進法

【判例】

  • 東朋学園事件(東京高裁 平18.4.19判決)
  • 日本航空インターナショナル事件(東京地裁 平19.3.26判決)
  • 日欧産業協力センター事件(東京高裁 平17.1.26)

アドバイス

相談者は、産前産後休暇を利用後、育児休業制度を活用して1年間休業し、出社のために会社に連絡をしたところ、『今のところあなたの仕事はない』『小さい子供がいると休みが多くなり会社も困るから、あと1年休職したらどうか』と言われたとのことですが、もし仮に会社が当該労働者の意思に反して休職命令を下すとしたら、育児休業法の第10条「不利益取り扱いの禁止」、第16条(準用)、第16条の4(準用)に違反することになります。
育児休業の申し出をしたこと又は取得したことに因果関係がある不利益取り扱いとしては、次のようなものが挙げられます。

  1. 解雇すること。
  2. 期間を定めて雇用される者について、契約を更新しないこと。
  3. 予め契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
  4. 退職又は正社員を非正規社員とするような労働契約内容の変更を行うこと。
  5. 自宅待機を命ずること。
  6. 降格させること。
  7. 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
  8. 不利益な配置の変更を行うこと。
  9. 就業環境を害すること。

さらに相談者自身が「確かに、子供が病気になればお休みをいただいたりしなければならないこともあるかと思うが」と心配していますが、育児・介護休業法第16条の2(子の看護休暇の申し出)、第16条の3(子の看護休暇の申し出があった場合における事業主の義務等)には、小学校就学前の子を養育する労働者は、申し出ることにより、1年に5日まで、病気、ケガをした子の看護のために、休暇を取得することが認められています。またこれ以外に有給休暇も活用できるでしょう。

問題は、会社の言うもう1年の休職を断ったり、子の看護休暇の申し出を断られたりした場合の対応をどうしたらよいかということになりますが、これも育児・介護休業法の第52条の2(苦情の自主的解決)及び第52条の4(紛争の解決の援助)に基づいて、まずは社内に設置をされた苦情処理委員会などに申し立てるか、このような機関が無い場合は、静岡労働局雇用均等室(054-252-5310)に相談し、事業主に対する助言、指導、勧告を求めることができます。

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