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高齢者の再雇用問題

Q

高齢者の再雇用問題

私は今年定年退職を迎える60歳、製造工場に正社員として勤めています。
会社に、再雇用制度があります。(直近の人事考課制度の評価により採用不採用が決定される)その制度を利用したいと考え会社に応募しました。合否通知は未だですが、これで採用されない場合、会社に採用を認めるべきだと主張してよいものなのでしょうか?
私自身、出勤率も90%以上超えていますし、健康状態も特段問題ありません。人事考課もここ2年程度普通評価です。退職金は出るもの、5年間、無収入で生活することに厳しい現実があるため、出来れば採用してもらいたいと考えています。
一方、採用されたとしても、現状の仕事は継続することになる予定ですが、賃金は現役時代の給与と比べても55%程度に下がります。これは不利益変更になるのではないでしょうか?また、差額を請求することは可能でしょうか?

A

法的ポイント

  • 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
    【改正内容詳細】000694689.pdf (mhlw.go.jp)
  • 雇用保険法(第61条「高齢者雇用継続基本給付金」)
  • 労働契約法(第8条「労働契約の内容の変更」)
  • 同(第9条「就業規則による労働契約の内容の変更」)
  • 同(第10条)

アドバイス

1.上記の制度に沿って相談事例を考えてみると、まず、『採用されない場合、会社に採用を認めるべきだと主張してよいものなのか』という質問については、法の趣旨から言って客観的・合理的な理由もなく、会社の恣意的な理由で再雇用しないということは許されない訳ですので、再雇用されない理由の説明を求め、再雇用するよう主張すべきです。それでも希望が叶わない場合は、労働組合がある場合は労働組合に相談したり、場合によっては労働局や県労働委員会の個別労動紛争解決に向けた助言・指導、あっせん申請をするか労働審判に持ち込むなどの方法もあるでしょう。

次に『現状の仕事は継続することになる予定ですが、賃金は現役時代の給与と比べても55%程度に下がります。これは不利益変更になるのではないか』という質問ですが、結論から言いますと、これは不利益変更にあたらないと解釈(※1)されています。
理由としては、60歳の定年後の労働契約はそもそも存在しないため、不利益かどうかを比べる基準が存在しないと考えられるためです。従前の雇用契約は定年で一旦解除した上で、継続雇用制度にもとづいて新たな雇用契約を結んで新たな賃金を設定するということになるので不利益変更には当たらない、という解釈です。
但し、参考として付け加えれば「定年60歳にも関わらず継続雇用制度を導入するために55歳から賃金を引き下げるのは、55歳から60歳までの間については不利益変更に当たる」裁判例があります。(不利益変更についての関係法令は、労働契約法第8~10条)
また、有給休暇については、切れ間なく再雇用された場合は定年前の権利を継続する扱いとなります。

(※1)「X運輸事件(大阪高判 平22.9.14)の判例」では、定年退職後のAが会社の継続雇用制度を利用し、3年間継続雇用された。賃金が正社員待遇より、54.6%であった。正社員との差額を同一労働、同一賃金の原則、労働条件の一方的な不利益変更、均等待遇の原則の諸点から公序良俗違反として訴えた事件。判決は「わが国の労働市場の現況、定年後の雇用状況を鑑みると、事件のあった奈良県の同種同規模の企業のシニア社員の待遇内容の平均を上回っている所得であった為、これが公序良俗に違反するとまで認めることは困難」として判決がでています。

基本通達

職高発第1104001号
平成16年11月4日

各都道府県労働局長 殿

厚生労働省職業安定局長
(公印省略)

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を
改正する法律の施行について(抜粋)

【第1】定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の促進

  1. 法改正の趣旨及び背景
    少子高齢化の急速な進展や年金支給開始年齢の引上げ等を踏まえると、意欲と能力のある者が、少なくとも年金支給開始年齢となる65 歳までは、年齢を理由として働くことが阻害されることのないシステムを整備することが急務である。
    こうした中、我が国の現状をみると、厳しい雇用失業情勢の中で、高年齢者は一旦離職すると再就職は困難な状況にあることから、高年齢者のそれまでの豊富な職業経験や知識を最大限活かす上でも、本人が希望する限り、まずはできる限り現に雇用されている企業において、継続して意欲と能力に応じて働き続けることを可能とする環境を整備することが求められている。
    このため、定額部分の年金支給開始年齢の引上げを踏まえ、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の高年齢者雇用確保措置を講ずることを事業主に求めることとしたところである。
  2. 高年齢者雇用確保措置(法第9条)【平成18年4月1日施行】
    高年齢者雇用確保措置の実施義務(法第9条第2項)

    (1) 高年齢者雇用確保措置の実施義務(法第9条第1項)
    定年(65歳未満のものに限る。の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、次に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。のいずれかを講じなければならないこととしたこと。
    ①当該定年の引上げ
    ②継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、
    当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。の導入
    ③当該定年の定めの廃止
    なお、高年齢者雇用確保措置によって確保されるべき雇用の形態については、必ずしも労働者の希望に合致した職種・労働条件による雇用を求めるものではなく、本措置を講じることを求めることとした趣旨を踏まえたものであれば、常用雇用のみならず、短時間勤務や隔日勤務なども含めて多様な雇用形態を含むものであること。

    (2) 継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準の設定(法第9条第2項)
    事業主は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合(そのような労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表とする者。以下「労働組合等」という。)との書面による協定により、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、(1)②に掲げる措置を講じたものとみなすこととしたこと。 労使協定で基準を定めることを求めているのは、継続雇用の対象者の選定に当たっては、企業によって必要とする能力や経験等が様々であると考えられるため、労使間で十分に話し合い、その企業に最もふさわしい基準を労使納得の上で策定するという仕組みが適当であるとの理由によるものであること。
    なお、ここでいう労働組合とは、労働組合法(昭和24年法律第174号)第2条に規定している要件を満たしているものに限られること。
    また、基準の策定に当たっては、労働組合等と事業主との間で十分に協議の上、各企業の実情に応じて定められることを想定しており、その内容については、原則として労使に委ねられるものであること。
    ただし、労使で十分に協議の上、定められたものであっても、事業主が恣意的に継続雇用を排除しようとするなど本改正の趣旨や、他の労働関連法規に反する又は公序良俗に反するものは認められないものであること。
    なお、実際に策定された基準の適否については、個々の基準のみを見て判断するのではなく、基準の全体構成や労使協議の過程など企業の個別の事情を踏まえて総合的に判断する必要があること。

    【適切ではないと考えられる例】
    『会社が必要と認めた者に限る』(基準がないことと等しく、これのみでは本改正の趣旨に反するおそれがある)
    『上司の推薦がある者に限る』(基準がないことと等しく、これのみでは本改正の趣旨に反するおそれがある)
    『男性(女性)に限る』(男女差別に該当)
    『組合活動に従事していない者』(不当労働行為に該当)

    なお、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準については、以下の点に留意されて策定されたものが望ましいものであること。
    意欲、能力等をできる限り具体的に測るものであること(具体性)
    労働者自ら基準に適合するか否かを一定程度予見することができ、到達していない労働者に対して能力開発等を促すことができるような具体性を有するものであること。

    必要とされる能力等が客観的に示されており、
    該当可能性を予見することができるものであること(客観性)
    企業や上司等の主観的な選択ではなく、基準に該当するか否かを労働者が客観的に予見可能で、該当の有無について紛争を招くことのないよう配慮されたものであること。

    【例】
    『社内技能検定レベルAレベル』
    『営業経験が豊富な者(全国の営業所を3か所以上経験)』
    『過去3年間の勤務評定がC以上(平均以上)の者』
    (勤務評定が開示されている企業の場合)

    (3) 高年齢者雇用確保措置導入義務に係る年齢の段階的引上げ(法附則第4条)
    高年齢者雇用確保措置導入義務に係る年齢は、年金(定額部分)の支給開始年齢の引上げスケジュールに合わせ、平成25年4月1日までに次のとおり段階的に引き上げていくものとしたこと。
    これは、直ちに65歳までの引上げを企業に求めることは、企業の負担が過大となることから、準備期間を設け、企業が年金(定額部分)の支給開始年齢の引上げスケジュールに合わせて計画的に取り組むことができるよう配慮したものであること。
    ただし、平成25年3月31日までの間も、65歳までの雇用の機会を確保するため、高年齢者雇用確保措置を講ずる努力義務は引き続き事業主に課されるものであること。
    ①平成18年4月1日から平成19年3月31日まで62歳
    ②平成19年4月1日から平成22年3月31日まで63歳
    ③平成22年4月1日から平成25年3月31日まで64歳
    ④平成25年4月1日以降65歳

    (4) 労使の協議が調わない場合における就業規則等による基準の設定(法附則第5条及び改正政令附則第1条第4項から第6項)
    高年齢雇用確保措置を講ずる事業主は、施行の日(平成18年4月1日)から起算して3年(中小企業の事業主の場合は、5年)を経過する日以後で政令で定める日(平成21年3月31日(中小企業の事業主の場合は、平成23年3月31日))までの間は、労働組合等との協議が調わないときは、就業規則その他これに準ずるものにより、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入できることとしたこと。
    この場合には、当該制度を導入した事業主は、法第9条第1項第2号に掲げる高年齢者雇用確保措置を講じたものとみなすこととしたこと。
    「労使協定をするために努力したにもかかわらず協議が調わないとき」とは、事業主が労使協定の締結に向け何らかの努力をしたにもかかわらず協定の締結に至らなかった場合をいうものであること。この場合の事業主が労使協定をするための努力をしたかどうかについては、実質的に判断することとなるが、例えば、使用者側が労働者側に一方的に提案内容を通知しただけといった場合などは「努力したにもかかわらず協議が調わないとき」には該当しないと考えられるものであること。
    なお、「その他これに準ずるもの」とは、従業員10人以上の事業所においては、労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条に基づき就業規則を作成しなければならないため、これに基準を定めることとなるが、従業員10人未満の事業所においては就業規則が存在しないこともあるので、そのような場合には、これに準ずるものでもよいとするものであり、具体的には、様式は問わないが就業規則のように何らかの方法で従業員に周知されているものをいうものであること。 また、「中小企業の事業主」とは、常時雇用する労働者の数が300人以下である事業主をいうものであること。さらに、平成21年3月31日及び平成23年3月31日までの間に、中小企業における高年齢者の雇用に関する状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、当該政令について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしたこと。
    3 事業主に対する指導、助言及び勧告(法第10条)【平成18年4月1日施行】
    厚生労働大臣は、高年齢者雇用確保措置の導入義務に違反している事業主に対し、必要な指導及び助言をすることができることとしたこと。 また、指導又は助言をした場合において、その事業主がなお違反していると認められる場合は、当該事業主に対して、当該高年齢確保措置を講ずるべきことを勧告することができることとしたこと。

【第2】求職活動支援書の作成等1 法改正の趣旨及び背景
(略)

【第3】募集及び採用についての理由の提示等(法第18条の2)
(略)

【第4】シルバー人材センター等の業務の特例(法第42条第2項及び第45条)
(略)

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